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自作せっけんの到達点

2010 年 8 月 9 日 月曜日

2009 年の 4 月頃に書いたせっけんに関する記事ですがアップするのを忘れていました。あの後、十数回せっけんを製作してこの結論に至りました。

せっけんは油を化学反応 (加水分解) させて作ります。せっけん作りにおいては複数の油を配合するのが常識です。複数の油のいいところを取り入れた高機能なせっけんを作るためです。例えば、泡立ちを良くする油と泡持ちを良くする油を混ぜて、起泡力と泡の持続性に豊んだせっけんを作ります。

ところが、自作せっけんに深入りした人 (せっけんマニア) 達は 1 種類の油だけでせっけんを作成するようになります。かくいう私も挑戦しようとしました。1 種類の油だけからせっけんを作ればその油そのものの特性がよく分かると考えたからです。油そのものの特性がよく分かれば調合する際にも有利です。

しかし、これは実に効率の悪い方法です。趣味ですから効率の悪さを楽しむというのも面白いものですが、油の種類は膨大ですから全て試そうと思うと気が遠くなります。

そもそも、配合される油の割合によってせっけんの特性が変わるのは油に含まれる脂肪酸の組成が異なるためです。ですから、「せっけんの特性を決定するのは油である」と表現するよりも「せっけんの特性を決定するのは脂肪酸である」と表現したほうが正確です。

脂肪酸ごとの特性を知ることは油の特性を知る近道ですから、自作せっけんの全体像をつかむためには 1 種類の油からせっけんを作るより 1 種類の脂肪酸からせっけんを作るほうが有用でしょう。主要な脂肪酸は十種類程度ですので、十数回の試作だけで済みます。

そうして各脂肪酸の特性を全て克明に調査してレシピ作りに活かそう。しかし、そう思ったときに「せっけんライフ」というサイトを見つけました。

先駆者でした。このサイトの作成者は「石けんシミュレーション」というせっけんのレシピ作りを強力にサポートしてくれるエクセルのファイルを公開しています。「石けんシミュレーション」には各油脂の平均的な脂肪酸組成が入力されていて、油脂の配合割合を入力するとできあがるせっけんの脂肪酸組成が表示されるようになっています。また、各脂肪酸の特性についても記載されています。そのため、できあがるせっけんの使用感をレシピ作りの段階でリアルタイムに予想することができます。

また、アンケート調査 (数十人に実施しているだなんてすごすぎです) で高得点だったせっけんのレシピも同梱されています。ブラインドによる試験ですから結果も信頼できます。ただのせっけんマニアにここまでの偉業を成し遂げることができるでしょうか。まさに手作りせっけんの到達点です。石けんシミュレーションは、申し込みフォーム に必要事項を入力して送信するだけで、無料で利用することができるようになります。

しかし、この到達点は私の到達点とは異なります。そもそも、自作せっけんが市販のせっけんよりも肌に良いと言われているのは未鹼化の油脂とグリセリンが含まれているためでしょう (グリセリンは化粧水の主要な成分です)。それならば、せっけん (市販品を含む) で体を洗った後にグリセリンと油脂を肌に塗布すれば自作せっけんと同じ効果が得られるのではないでしょうか。数十人にアンケートを実施などといったことを実践できないのが残念なところですが、私見では自作せっけんよりも軽く数百 % は保湿性が高いのではないかと感じています。

一回の入浴で使用されるせっけんはわずかです。また、せっけん中のグリセリンも油脂も含有率は 20% 以下でしょう。しかも、体を洗った後はシャワー等で流されてしまいます。入浴後にどれだけ肌に残留するでしょうか。一方、薬局で一般販売されているグリセリンは含有率 85% 程度です。これと食用のオリーブオイルを入浴後に塗布したほうが遙かに残留率は高いでしょう。また、塗布法であれば、使用量の増減も簡単に調整できます。

私は次のように使用しています。まず、体を洗った後に風呂場から上がる前に体についている水を手で軽く切ります。そして、手のひらにグリセリンを 1 円玉の大きさに出したら手のひらで薄く薄く伸ばし体に塗布していきます。これを何度か繰り返します。体が乾燥していると全然伸びません。体に多少水を残すのがコツです。その後、同様にオリーブオイルを体に塗布します。オリーブオイルは夏は不要かもしれません。


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