コントレックスに硫酸が入っている件
コントレックスをご存知でしょうか。重厚でもったりとした飲み口が特徴のフランス原産のミネラルウォーターです。コントレックスはミネラルウォーターの中でも特に硬度が高く (1468)、このとろりとした味わいが好きで私もたまに飲んでいました。
コントレックスのボトルには製造業者のラベルと輸入業者のラベルがついていますが、その製造業者のラベルに驚きの記載をみつけました。何と SO42- 1,121 mg/L と書かれていたのです。
「S は硫黄で O は酸素だから……硫黄酸化物か……。ん? ……あれ? もしかして硫酸か……!? いや、硫酸イオンだ!」
気がつくまでに数分かかってしまいましたが、高校時代の化学の教科書を見てみるとやはり SO42- は硫酸イオンとあります。よく見ると輸入業者のラベルにもサルフェート 112.1 mg (100 mL 中) という記述があります。硫酸イオンと書くとイメージが悪いから横文字で書いているのでしょうか。
コントレックスのその他の成分は下記の通りです。
成分 | 含有量 (100 mL 中) |
---|---|
Ca2+ | 46.8 |
Mg2+ | 7.45 |
Na+ | 0.94 |
K+ | 0.28 |
SO42- | 112.1 |
HCO3- | 37.2 |
NO3- | 0.29 |
Cl- | 0.76 |
ぱっと見て硫酸イオンが一番多いのが分かります。硫酸イオンや炭酸水素イオンが金属イオン (カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム) と結合するとどのような塩が生じるか考えてみました。硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、過硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、それから炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムがありそうです。これらの物質について国際化学物質安全性カードで調べてみました。
物質名 | 急性症状 | 予防 |
---|---|---|
硫酸カルシウム | 腹痛。 | 作業中は飲食、喫煙をしない。 |
硫酸マグネシウム | 胃痙攣、下痢。 | 作業中は飲食、喫煙をしない。 食事前に手を洗う。 |
過硫酸ナトリウム | 下痢、吐き気、 咽頭痛、嘔吐。 |
作業中は飲食、喫煙をしない。 |
硫酸カリウム | 腹痛、下痢、 吐き気、嘔吐。 |
作業中は飲食、喫煙をしない。 |
炭酸カルシウム | - | 作業中は飲食、喫煙をしない。 |
炭酸マグネシウム | - | - |
とにかく、おなかを下しそうです。実際、硫酸マグネシウムなどは下剤として使われているようです。硫酸マグネシウムを主成分とする便秘薬にミルマグ内服液があります。これの 1 日量に含まれる硫酸マグネシウムは 2,000 mg ~ 4,000 mg です。一方、コントレックスに含まれる硫酸マグネシウムは 100 mL あたり約 37 mg (マグネシウムイオンが全て硫酸イオンと結合した場合) ですので、飲み過ぎると硫酸カルシウム等との相乗効果でおなかを下してしまいそうです。
国際化学物質安全性カードには応急処置というのもあるのですが、硫酸塩を飲んでしまった場合の応急処置が「多量の水を飲ませる」というのは面白いですね。
硫酸という単語に過剰反応を示してしまいましたが、実際に国際化学物質安全性カードを見てみると深刻な害はなさそうですし、便秘気味の方にはちょうどよいかもしれません。ただ、飲み過ぎには十分気をつける必要がありそうです。
関連記事
関連記事はありません。
トラックバック
URL:
コメント
この記事のコメントフィード
コメント投稿