旧ライブドア解散
今般、株式会社 LDH の臨時株主総会が招集され、会社解散についての決議が行われることになりました。昨日、招集通知が届きました。
正確に言うとライブドアの解散ではなく LDH の解散です。簡単に説明すると、(旧) ライブドアは社名を LDH に変更し、また、一部の事業を分離して会社を新設 (会社分割) し、その会社名を (新) ライブドアとしました。さらに LDH はその (新) ライブドア株を全て譲渡しているため、現在は (新) ライブドアと LDH はまったく別の会社です。LDH が解散しても (新) ライブドアのポータルサイトやブログサービス等は残り続けます。
会社解散というと議決権を 10% 以上保有する株主による会社解散請求権 (833 条) の行使が思い浮かびますが、解散請求は裁判によって会社の解散について争う方法です。この裁判により会社の解散がやむを得ないと判断された場合には裁判所が会社の解散を命令します。
今回は、解散請求ではなく、ある株主が会社解散を議題にして株主総会の招集を請求したものです。株主総会の招集は議決権を 3% 以上保有していれば請求できますが、会社の解散決議は特別決議にあたる (309 条 2 項 11 号) ため、議決権の過半数を有する株主の出席とそのうち 2/3 以上の賛成が必要です。
招集通知にはこの議題を提案したのが誰であるかの記載はありません。ただ、提案株主の保有議決権数が 2,847,877 個とありますので、間違いなくモルガンスタンレー MUFG 証券会社です。取得価格は 1 株 1 万円としても 285 億円、議決権比率は 32.9% にも達する最大株主です。
議題提案の理由は「純粋持株会社である貴社において、すでに連結子会社株式を全て売却し、現在子会社が存在していない以上、できる限り早期に解散することが相当であり、よって株主総会を招集する必要があります。」だそうです。
この議題が面白いのは、取締役がこの件に賛成していないことです。かと言って反対もしていない。「取締役会といたしましては、本議案に中立の立場であり、本議案の賛否の判断は株主の皆様にお委ねすることといたします。」とのことです。
LDH は子会社の売却と資本の払い戻しを繰り返しており、経営陣は会社の解散をしたいのだと思っていたのですが、「中立の立場」というのは面白いところです。
解散決議が可決されると、会社の清算が始まり、残余財産の分配が行われます。会社の資産を全て売却し、債務を返済した上で残った現金を株主に払い戻す作業です。LDH の 1 株あたり純資産は2011 年 3 月 31 日現在 1,473.82 円です。純資産は資産から債務を引いたもの。それを全株数 (自己株は考慮済み) で割り算したものが 1 株あたり純資産です。ですので 3 割戻ってきたとして 1 株あたり 442 円少々です。モルガンスタンレー MUFG 証券会社は 12 億円以上を手にするわけです。モルガンスタンレー MUFG 証券会社はこれが欲しくて解散決議を提案したわけです。この 3 割というのは私の勝手な予想であって何の根拠もありません。全資産が帳簿価額で売却できれば 10 割戻ってきますし、もっと高値で売れればもっと戻ってきます。
ちなみに、私は LDH 株を 1 株だけ保有しており議決権比率は約 0.0000116% です。当時ライブドア株を 100 株を約 1 万円で購入しました (その後、株式併合があり 100 株が 1 株になりました)。資本の払い戻しにより約 1 万円近く配当金を受け取っていますので、現在の簿価は 1 円くらいだと思います。投下資金も多分ほぼ全額回収できましたし、ライブドアには長い間楽しませてもらいました。おそらく解散決議は可決されるでしょう。お疲れ様でしたと声をかけてやりたいです。
なお、臨時株主総会は 2011 年 8 月 5 日 金曜日 13 時に日比谷公会堂にて開催されます。その日のうちに LDH 解散のニュースが配信されることと思います。
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