(2/3) 無料 DNS と Google apps
「携帯メールを卒業して独自ドメインメールへ」第二弾。メールアドレスを運用するためにはメールサーバーとネームサーバーが必要ですがどちらも無料で借りられます。
2. 独自ドメインのメールアドレスの運用設定
メールサーバーとは
メールサーバーはメールを受信したり送信したり保存したりと様々な処理をこなしてくれるサーバーです。我々がメールを送受信するときは実はこのメールサーバーががんばっています。メールサーバーは Google が無料で貸してくれるのでこれを使いましょう。
Google は Gmail を独自ドメインで使うための Google Apps というサービスを無料で用意してくれています。Gmail の強力なスパムフィルター、検索性の高さ、使いやすさ、携帯機器との親和性の高さは周知の通りです。Yahoo メールや Hotmail ではメールの末尾に広告が入りますし、Hotmail はスパム業者にメールアドレスを漏洩することもあります (ある Hotmail 利用者にメールを送信したところ、彼のメールアドレスを詐称したスパムが来たことがありました) が、Gmail ではそのようなことはありません。
ネームサーバーとは
ネームサーバーはこのメールサーバーがどこに存在するのかを示す道しるべのようなものです。A さんにメールを送る際は A さんのメールサーバーにメールを送信する必要がありますが、普通はどこにメールサーバーがあるか分かりません。それを教えてくれるのがネームサーバーです。
例えば、下記のようなイメージです。A さんの example@example.jp というメールアドレスにメールを送信するときは、まず、jp (の Whois) にアクセスして「jp に example って場所があると聞いたのですがどこですか?」「example.jp にはあっちのネームサーバーが登録されてますね。彼に聞いてください。」というやり取りが行われます。次に、あっちのネームサーバーは「example.jp のメールサーバーはそちらですよ。」とレスポンスし、そして、そちらの (example.jp の) メールサーバーは「example@example.jp 宛ですね? 分かりました。預かっておきます。」とレスポンスします。最後に、A さんが example.jp のメールサーバーに「example@example.jp にメール来てない?」と尋ねたり、あるいは、example.jp のメールサーバーが A さんに「メール来てますよ!」と連絡したりします。
ドメイン代行取得業者によってはネームサーバーを無償で貸してくれるところもあります。上記の業者は全て自社でドメインを取得したユーザーにネームサーバーを無償で貸してくれます。
しかし、業者がネームサーバー貸し出しサービスをやっていない場合、またはドメイン代行取得業者を介さずに自分でドメインを取得した場合にはネームサーバーをよそで借りる必要があります。
私は、ZoneEdit という無料の貸し出しサービスを利用しました。ここでは、ZoneEdit での設定方法を解説します。バリュードメインの場合の設定方法は 最後 に解説します。
- ZoneEdit にアカウントを作成
- Whois に ZoneEdit のネームサーバーを登録
- Google Apps 登録
- ドメイン所有権確認のために CNAME レコードを追加
- MX レコードの設定
- SPF レコードの設定
- URL 変更
- Whois の更新を確認
- DNS レコードの更新を確認
- バリュードメインでの設定方法
ZoneEdit にアカウントを作成
アカウント作成ページ にアクセスします。名前、住所、電話番号、メールアドレスを入力して [Sine Up Now] ボタン。ここで入力したメールアドレスにユーザー名とパスワードが送られていますので、それを使って ログイン します。次に、[Add Zones] → [Enter Domain Name: www.] にドメイン名を入れて [Add Zone] ボタン。そうするとネームサーバーが指定されます。
Whois に ZoneEdit のネームサーバーを登録
Value-Domain でドメインを取得した場合には [ネームサーバーの変更] で [当サービス内のネームサーバーをご利用になるにはここをクリックして下さい。] をクリックして Value-Domain のネームサーバーを登録します。
Google Apps 登録
Google Apps 申し込みページ から Google Apps Standard Edition へ申し込んでください。無料です。
CNAME レコードを追加
再び、ZoneEdit。[MailForwards] → [Delete] にチェックを入れて [Delete Selected] → [Yes] で MailForwards 削除。[Aliases (CNAME)] → [Alias] に固有の Google 文字列、[Actual Name] に google.com と入力して [Add New Alias] → [Yes] で CNAME レコードを追加。固有の Google 文字列の値は各自異なり、https://www.google.com/a/cpanel/ example.jp /VerifyOwnership から確認できます。例えば、googleaaaaaaaaa12345 などです。
MX レコードを追加
再び、ZoneEdit。[Mail Servers (MX)] → 2 つあるうちの左側のテキストボックス (MailServer) に
と入力し右側のボックス (Mail Destination) に自分のドメインを入力→ [Add New Mail Server] ボタン→ [Yes] ボタン。同様に入力を続けて下記のような状態にします (Mail Destination はすべて自分のドメイン)。MailServer | Rank |
---|---|
ASPMX.L.GOOGLE.COM | 1st |
ALT1.ASPMX.L.GOOGLE.COM | 3rd |
ALT2.ASPMX.L.GOOGLE.COM | 3rd |
ASPMX2.GOOGLEMAIL.COM | 5th |
ASPMX3.GOOGLEMAIL.COM | 5th |
ASPMX4.GOOGLEMAIL.COM | 5th |
ASPMX5.GOOGLEMAIL.COM | 5th |
SPF レコードの設定
次は [Advanced] の [Text Data (TXT)]。[Domain Name] に自分のドメイン (example.jp) を入力 → [Text Data] に
と入力して [Add New TXT Record] ボタン→ [Yes]SPF レコードについては Google は txt @ v=spf1 include:_spf.google.com ~all にせよと書いています が
でも SPF 検査は通過するようです。SPF 検査 は spf-test@openspf.org 宛に空メールを送るだけで実行できます。結果はエラーメッセージで返されます。エラーメッセージ中に とあれば成功 (HELO はいずれにせよ none っぽい)。URL 変更
再び、[Aliases (CNAME)] → [Alias] に mail.example.jp → [Actual Name] に ghs.google.com と入力し、[Add New Alias] ボタン → [Yes] ボタン。ついでに、カレンダーなどの URL も下記のように変更しておきましょう (Actual Name はすべて ghs.google.com)。
Alias |
---|
mail.example.jp |
calendar.example.jp |
docs.example.jp |
sites.example.jp |
バリュードメインでの設定方法
さくらインターネットでレンタルサーバーを借りて独自ドメインのウェブサイトを既に運用しており、新たにその独自ドメインを Google Apps で利用するための設定を解説します。なお、この独自ドメインはバリュードメインで管理しているものとします。
まずは、バリュードメインのサイトにログインしてネームサーバーを変更 します。当初はさくらインターネットのネームサーバーが指定されているはずです。[当サービス内のネームサーバーをご利用になるにはここをクリックして下さい。] というリンクをクリックしてネームサーバーを変更し [保存する] ボタン。
次に、 DNS レコードの変更 をします。設定フィールドに下記のように入力し [保存する] ボタン。
サーバーの IP アドレスは さくらのサーバコントロールパネル の [サーバ情報の表示] から確認できます。cname は必要に応じて docs や sites も追加できます。
Whois の更新を確認
Whois の登録ネームサーバー情報が更新されたかどうか Whois に問い合わせて確認してください。大概のドメインは cman.jp で確認できますが、cman.jp はマイナーの (国の) ドメインには対応していません。その場合は直接本国の Whois サーバーに問い合わせて更新を確認してください。私の場合は数十分で更新してくれましたが、数日かかることもありますし、更新されてもそれが反映されるまでに時間がかかります。
DNS レコードの更新を確認
DNS レコードの更新が反映されたかどうかを確認してください。ここでは ZoneEdit のネームサーバールックアップ を紹介します。[DNS Lookup:] テキストボックスに自分の独自ドメインを入力して [Select record type (optional):] で [Return all (ANY)] を選択し [Look it up] ボタン。CNAME の確認は [DNS Lookup:] に固有の Google 文字列と独自ドメイン (googleaaaaaaaaa12345.example.jp) を入力して [Select record type (optional):] で [Alias (CNAME)] を選択し [Look it up] ボタン。私の場合、反映までに 72 時間ほど要しました。
関連記事
トラックバック
URL:
コメント
この記事のコメントフィード
コメント投稿