« 1 つ新しい記事「」へ
1 つ古い記事「」へ »

戦争に行ったキノコ

2008 年 4 月 16 日 水曜日

『戦争に行ったキノコ』という歌をご存知でしょうか?

作曲家ストラヴィンスキーのデビュー作ですが日本では (多分) 音源が手に入らない秘曲で海外でも中々音源は見つかりません。そのためこの曲の音源を所有する人は国内に 100 人もいないのではないでしょうか。Google で検索してもほとんどヒットせず、かろうじて「この曲を聴くと背徳的で官能的な夢を見てしまう」という情報が得られるのみです。

この曲は日露戦争中の 1904 年に発刊された歌曲であり、時代背景からしても日露戦争に向かうキノコについての歌であったと思われます。

曲名は

  • How the mushroom went to war (キノコはいかに戦争に行ったのか)
  • Mushrooms went to war (戦争に行ったキノコ)

の 2 種類が流通しています。

時代背景からも曲名からも大変気になる歌曲ですが幸運にも私は歌詞と音源を手にすることができたので、ここに歌詞を翻訳してみたいと思います。(著作権に配慮して日本語訳のみ) おそらく世界初の試みでしょう。

さぁ、キノコはいかにして日本人と戦ったのか……!?


『戦争に行ったキノコ』

繰り返し: すべてのキノコを統べる指揮官、松茸。 彼はあるオークの木の根本からキノコの群衆をざっと見渡した。 そしてすべてのキノコに戦争に行くように命令、指揮しました。 金色のキノコは辞退しました。 私たちの足は皮と骨だけだと言い張って。 「あたしらは戦争に行く資格がありませんのや。」 (繰り返し) タマゴテングダケは辞退しました。 彼らは「我々は上院議員で兵役は免除されているよ」と言いました。 (繰り返し) アミガサタケは辞退しました。 「わしらはあまりにも年を取って不適当ですけん、戦争には行けませんや」 (繰り返し) 白いキノコは辞退しました。 「私たちは上流階級キノコなんだよ。適任じゃないね、戦争に行くのは。」 アカモミタケは辞退しました 「オレたちはまぁただの農夫、戦争に行くなんて無理さ。」 (繰り返し) 黄色のキノコは辞退しました 「わたしたちは年寄りばあさん、戦争なんてとても行けません。」 (繰り返し) バター・キノコは辞退しました。 「私たちは裁判所の職員で戦争には行かないことになっているから。」 (繰り返し) カブト虫は答えました 「オレらはみんな軍人仲間。キノコなんかのしちまうよ。 オレらは戦争に行くぜ。ばんざい!ばんざい!」 翻訳: プロ (おかしい日本語がありましたらご指摘ください)

キノコは日本人と戦ってませんね。勇猛果敢に日本人と戦い、正々堂々食い散らかされるキノコたちの勇姿を垣間見られるかと思ったのですが残念です。

キノコは臆病者の比喩表現で戦争に向かう勇敢なロシア人をカブト虫に見立てているのでしょう。歌詞の内容からして軍歌ではないでしょうがロシア人を鼓舞する意図があったものと思われます。

しかし、この曲の刊行の翌年にロシア第一革命が勃発。しかも戦局も極めて不利だったため帝政ロシアは講和勧告を受諾せざるを得ず、日露両国はポーツマス条約に調印します。日本にとってはあまり良い講和条約ではありませんでしたが、これはまたの機会に。

Domenico Gallo: 12 Trio Sonatas
最新価格はこちらから
プライバシーについて
Stravinsky: Histoire du Soldat [Import] [from US]
  • Martin Bruns
  • ASIN: B00005QJOH
  • [CD]
  • Koch
  • Amazon: ¥ 1,895

関連記事
関連記事はありません。

« 1 つ新しい記事「」へ
1 つ古い記事「」へ »

  • トラックバック

    URL:

  • コメント

    Ken 2008 年 4 月 16 日
    ストラヴィンスキーは余り自分も知らないのですが、是非聞いてみたいと思います。 これは当時の帝政ロシアの中での、ロシア系白人とその他の少数民族の差別的な風潮をもじった風刺も多少入ってるんじゃないかと推察しますので…。 つまり、キノコが有色人種(含む日本人)、カブト虫がロシア系白人って意味の。
    プロ 2008 年 4 月 16 日
    >> Ken さん 始めは私もそう解釈しましたが、カブトムシがキノコの命令に返答している点が引っ掛かりました。 カブトムシがキノコの命令を受けて「キノコを打つ」と返答しているのです。 よってカブトムシやキノコ等の種族は人種ではなくて性格などを象徴しているのではないかなと考えました。 まぁその辺りは適当で、やはり ken さんのおっしゃる通りなのかもしれませんが。

    この記事のコメントフィード

  • コメント投稿

    ログイン する





    下記のタグが使えます (XHTML):
    <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <img alt="" class="" height="" src="" width=""> <q cite=""> <span class=""> <strike> <strong> <sub> <sup>