自転車
あなたの最初のパソコンはどこのメーカー製でしたか? 私は一台目の PC から自作 PC でした。パーツを買って自分で組み立てたのです。おかげで、PC については多少詳しくなることができました。
自転車も自作することで一定の知識を得られるはずです。知識は力。目の前にぶら下がっているのなら迷わずもぎ取りたいものです。ゆくゆくは電気自動車も自作したいところですが、とりあえずロードバイクを自作することにします。
ただし、自転車の場合は PC と違って、自作しながらだんだん知識を得ていくという訳にはいきません。普通は失敗しながらだんだん経験値をあげていくのですが、自転車は公道を走らせることになるのですから、失敗をすれば人様に迷惑をかけてしまいます。そこで、事前にある程度の知識が必要です。調査が必要です。調査して得た知識の大枠を簡単にまとめます。細かいところは組み立てながら解説していきます。
自転車はどんな部品で構成されているか
自転車の部品は PC 並に規格化されているので、部品を集めれば自分で組み立てることが可能です。それではどのような部品で構成されているのでしょうか。自転車は下記の部品で構成されています。
- フレーム
- フォーク (フレームと前輪をつないでいる)
- コンポーネント (作動部)
- クランク (ペダルと前の歯車をつなぐ)
- BB (クランクとフレームをつなぐ)
- チェーンリング (前の歯車。クランクの回転をチェーンに伝える。歯車の歯の数の多寡に応じて、チェーンの速度が変わる)
- チェーン (チェーンリングの回転をスプロケットに伝える)
- スプロケット (後ろの歯車。チェーンの動きを後輪に伝える。コンポーネントのグレードにより枚数が異なり、それによって変速数が異なる。歯の数の多寡に応じて後輪の回転数が変わり、自転車の速度とペダルの重さが変わる)
- ディレイラー (チェーンを横から押しチェーンがかかる歯車を変更することによりギアを変える。フロントディレイラーとリアディレイラーがある)
- STI (ブレーキレバーと変速レバーを指す)
- 後輪
- 前輪
自転車の部品の規格
フレームが決まると下記の規格が決まります
- ヘッド角とフォークのオフセット
- シートポスト径
- フォーク規格 (径)
- ヘッドセット規格
- ボトムブラケット規格
- フロントディレイラー取付方法
- タイヤサイズ
ヘッド角とフォークのオフセット
ヘッド角とはヘッドチューブの角度のことです。ヘッドチューブが水平線から何度起きているかを示します。まっすぐ上を向いていたら 90°です。フォークのオフセット (rake) とはヘッドチューブ軸からフォークが何 mm 前に飛び出すかを示しています。ヘッド角とフォークのオフセットの関係によってトレイルの量が変化します。トレイルの量によってハンドリングのレスポンスが変わります。オフセットが小さくなるとトレイルが大きくなり、直進安定性は高まりますがハンドルが重くなります。適切なトレイル量はある程度決まっているため、フレームのヘッド角が決まるとフォーク (のオフセット値) の選択肢が収斂します。この相互関係については ブリヂストンのトレイル早見表 を参照してください。
シートポスト径
シートポストというのはサドルの下に伸びるパイプのことです。シートピラーとも呼びます。これの直径がシートポスト径です。25.0, 25.4, 26.6, 26.8, 27.0, 27.2, 27.4, 28.6, 29.0, 29.4, 29.8, 30.0, 30.6, 30.8, 30.9, 31.4, 31.6, 32.4 mm 等の規格がありますが、31.6 mm が多いように感じます。他にも偏平ポストなどで汎用のシートポストを使用できないフレームも存在します。
ヘッドセット規格
ヘッドセットの規格については 自作自転車のヘッドセット に詳しく記載しておいたので参照してください。注意点は下記の通りです。
- 「インテグラル」と「インテグレーティッド」は同義ではない。
- インテグレーテッドは特殊工具での圧入が必要。
ボトムブラケット規格
ボトムブラケットはネジ山の規格、シェルの幅、シェル内径等の違いによりいくつかの規格がありますが、 3 つ覚えておけば十分です。
- BSC (BSA や English とも呼ばれます)
- ITA or Italian
- BB30
その他の規格は Wikipedia の英語ページ を参照してください。
フロントディレイラー取付方法
フロントディレイラーを取り付けるための台座があり、直付け式 (braze-on) と呼ばれるタイプのものと台座がないものがあります。台座がないタイプでは、専用バンドを用いてフロントディレイラーを取り付けます。専用バンドはシートチューブの太さに応じて 3 種類のサイズがあります。つまり、下記の 4 つの規格が存在します。
- 直付け式
- バンド式 28.6 mm
- バンド式 31.8 mm
- バンド式 34.9 mm
ただし、バンドは単体でも販売しているため、それを使用すれば直付け式のディレイラーを使用することができます。
フレームには依存しない規格もあります。
コンポーネントの規格
コンポーネントを作っているメーカーは多いのですが、そのシェアのほとんどを三つのコンポーネントメーカーが占めています。圧倒的シェアを誇るシマノ、憧れのカンパニョーロ、そして、新興勢力のスラムです。基本的には三社のコンポーネント間には互換性はありません。その他のメーカーはシマノとカンパニョーロに互換性を持つパーツを作っています。
タイヤの規格
- クリンチャー
- チューブラー
- チューブレス
簡単に説明すると、最も一般的なクリンチャー。本気のチューブラー。期待の新規格チューブレス。といった感じです。それぞれ専用のホイールが必要です。
「軽量化の恩恵」
自転車を軽量化することは重要です。自転車はそれ自身が進むため、自転車が軽くなればそれだけ小さい運動エネルギーで動かせます。5 kg の自転車を 2 m 動かすのと 100 kg の自転車を 2 m 動かすのはどちらかが楽でしょうか。もちろん前者ですね。運転手自身の軽量化も (筋力が落ちなければ) 恩恵は同じです。私の場合、自転車を軽量化したことはありませんが、体重を軽くしたことはあります。1 kg 軽くなると、「お、軽いな!」と体感できます。競技者なら 500 g 以下の軽量化でも体感できるかもしれません。タイムや疲労度に与える影響がどの程度なのかは計測していないので分かりません。
「ホイールの軽量化は二度おいしい」
ホイールの軽量化はもっと重要です。自転車が約 2 m 進むとき、ホイールを含む全ての部品も約 2 m 進みます。しかし、ホイールは 2 m の前進のみならず一回転します。上下前後に動く訳です。これは結構な運動量です。
ホイールの重さが 2 kg で総重量が 10 kg の自転車を 2 m 動かす際には 10 kg を 2 m 動かすエネルギーのみならず、2 kg のホイールを約 1 回転させるだけのエネルギーが必要です。ホイールを軽量化すると二度おいしいというわけです。
とりわけ、ホイール外周部の軽量化が重要です。例えば、重さ 1 kg の鉄球に 40 cm の紐がつながっているとします。紐の端を持って鉄球を振り回すのと、鉄球を持って紐を振り回すのでどちらが楽でしょうか。もちろん、後者の方が楽ですね。
ホイールは外周から、タイヤ、チューブ、リムテープ、リム、ニップル、スポーク、スプロケット、ハブ、スキュアー (クイック・レリーズ) の順ですが、特に、ニップルまでの軽量化は効果が大きい。スポークも一定の効果があるでしょう。ハブやクイック周辺はあまり大きく移動しないので、これらの軽量化はフレームやシートポストを軽量化するのと大きく変わらないと思われます。私は実際に試したことはないので何グラム以上の軽量化から有意な差が現れるかは分かりません。
さて、そういう訳で自転車を軽量化したいところですが、自転車のパーツはあまりにも多いため、どのパーツを選択すればどれだけ軽量化できるかにわかには分かりません。そこで、自転車のパーツを変更したときの影響を重量面および金銭面からリニアに表示するスクリプトを作ってみました。自転車自作用価格重量計算機 です。是非、参考にしてください。
別のページでパーツ選択から自作自転車について詳しく書きました ので、そちらを参照してください。
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